【図柄など解説】
とても豪華な、革装丁の「十字架の道行きブック」です。
第一留から第十四留まで1ページにつき2留ずつ場面が彫られています。
*十字架の道行き
十字架の道行き(じゅうじかのみちゆき)とは、カトリック教会で行われる儀式で中世末期から行われてきました。
キリストのまねびの一形態ともいえます。 イエス・キリストの受難の捕縛から受難を経て復活まで15の場面を個々の場所や出来事を心に留めて祈りを奉げます。
聖地巡礼ではそれぞれの場所で祈祷を行います。
これを模すためにカトリック教会の聖堂などにおいて壁に捕縛から埋葬まで14場面の聖画像が掲げてあります。
最後の15番目場面の復活は祭壇側に向かって祈ります。(但し四旬節中は、14番目までの祈りが奉げられます)
キリストの受難を黙想しながら祈る信心業、それを模した絵柄です。イエス・キリストがピラトから死刑の宣告受け、十字架上で亡くなり、葬られるまでの14の留(りゅう)の
ひとつひとつの絵柄が刻まれています。
I 第一留 イエス、死刑の宣告を受ける
II 第二留 イエス、十字架を担わされる
III 第三留 イエス、十字架の下に初めて倒れる
IV 第四留 イエス、悲しみの聖母に出会う
V 第五留 シモンがイエスの十字架を強いて背負わされる
VI 第六留 ヴェロニカ、イエスのみ顔を拭う
VII 第七留 イエス、再び十字架の下に倒れる
VIII第八留 イエス、嘆き悲しむ女性たちを慰める
IX 第九留 イエス、三度十字架の下に倒れる
X 第十留 イエス、衣服をはがされる
XI 第十一留 イエス、十字架につけられる
XII 第十二留 イエス、十字架上で息をひきとる
XIII第十三留 イエス、十字架より下ろされる
XIV 第十四留 イエス、埋葬される
【XV 第十五留 イエスは復活される】
彫りをよりシャープにする為と、おそらく変色を避ける為に地金板にはシルバーではなく、もっと硬質な合金が使われています。
一番最初のページの中央のクルシフィクスは土台が木で、キリストのコルプスはシルバーです。(釘は真鍮)
お札の原画を作る方法と同じエングレーヴィング(金属にビュランという先端が尖った専用の刃物を使って直接彫っていく)で、このような非常に細やかな原画が作られ
それを元に量産(化学処理/エッチング)金属板の凹部分に黒の塗料をすり込んであります。
*エングレーヴィング
エングレービング(engraving)とは版画の凹版技法のひとつで、ビュランという先端にダイアモンド用の固い刃のついたノミのような器具を使い、金属版に線を彫ります。
その溝にインクを埋めそれを刷って作品にする版画技術で、紙幣、有価証券等にも使われる技法です。この鋭い彫りを活かして、そのまま作品にする事もあります。
(手彫りの原版はワンメイクになる上に市場に出てくる事はまずありません)
洋彫りという名称で知られる、インチヂオーネ(イタリア語)は、まさにこのビュランで彫る技法で金属製のシガレットケースや装飾品に模様を彫ります。
ビュランで彫られた美しいインチヂオーネのアンティークは何度か当店でも取り扱いました。(今は全て完売)
こちらの道行きブックは全ページ揃っています。
経年によりページ曲がりや歪みがあります。蝶番は残念ながら欠損しています。
1900年代前期の品ですが、とても手が込んでおり、またお金が掛かっており、果たして現代だったらこんなコストのかかる聖品を企画できるのか、
販売して元取る事すらできないのでは、等々思うところありますが
古きよき時代だからこそ作る事が出来たと言える、とても贅沢な品です。
この商売をもう12年やっておりますが今回でやっとの3個目です。次の入手は何年後になるか分かりません。
ご検討の方お早めにどうぞ。
【素材】
合金 シルバーメッキ 黒塗料 真鍮 革 木
【重量】
145g
【サイズ】
84;72m厚み26mm
【備考】
*アンティーク、ヴィンテージ、中古品は経年変化による変色、汚れ、染み、傷、歪み、破損等あることがございます。画像をよくご覧頂き、ご判断、ご納得の上でのご購入をお願い致します。