ポンペオ・ジローラモ・バトーニ『悔い改めたマグダラのマリア』原画by独立磁器画家ルートヴィヒ・シュトゥルム陶板画
1800年代後半〜20世紀初頭 制作 磁器画家ルートヴィヒ・シュトゥルムによる描写 窯元不明 ※転写法による絵付け
268.5g 14.5/19.3cm 380,000円
※ポンペオ・バトーニ(Pompeo Girolamo Batoni、イタリア、ルッカ出身1708年1月25日 - 1787年2月4日)
有名なバロック画家のポンペオ ジローラモ バトーニによって1742年に描かれたこの美しいマグダラのマリアの油画のオリジナルは恐らく1945 年にドレスデンで破壊されたと考えられています。
第二次世界大戦当時、ナチスドイツ、ヒトラーは欧州の美術館や教会から略奪した美術品でオーストリアのリンツに「総督美術館」なるものを建設して欧州各地から略奪した美術品を展示した美術館をつくる予定だったが(当時ヒトラーはモダンアート(ピカソや印象派)は嫌っていたが具象的な絵画は特に好みだった)
敗戦が濃厚になった1945年に略奪美術品を破壊せよという指令を出したが美術品の破壊を躊躇する人々に(内部関係者なども含め)から守られた作品もあるが
破壊されたもの、戦火を逃れることができず焼失してしまったもの、隠されたまま行方不明になっているものまで実に多数である。
恐らくこのバトーニのマグダラのマリアの油画が破壊された、というのも
焼失あるいは故意に破壊されたもの、と考えられます。
陶板(名)画といえばKPM
ベルリン王立磁器製陶所(Königliche Porzellan-Manufaktur Berlin GmbH; KPM Berlin)ですが
ポンペオ・ジローラモ・バトーニのまさにこの構図のマグダラのマリア絵の陶板画を海外取り扱い品(古美術商のサイトなど)楕円のものではなく長方形のもので、裏面にKPMバックスタンプ、のものが
ありましたがちょっとしたダイヤ価格でした。
こちらはKPMではない、窯元不明な品なものの
同じ技術で陶板画を制作できる工房によって制作されたものでしょうが、(KPMの作品の方は有名な磁器の皿や肖像画の画家でありリヒテ ヴァレンドルフに1764年に設立されたヴァレンドルフ磁器工場で働いていたアルノ・ハッケルによって1950年頃に制作されています)。
裏面には窯元のスタンプはありませんが、陶板画を制作するにあたっての、元になる原画、磁器絵のオリジナルを描いた、
独立したドレスデンの磁器画家ルートヴィヒ・シュトゥルム(1844-1926)のL.STRUMのスタンプが押されています。K1の押し印の意味するところは不明です。
KPMだとアルファベットの押し印はありますが、ちょうどKだけ何故か抜けているので、そのKということはやはりKPMではないという証明にもなっています。
中央には美術展、とあります。
あとは鉛筆かペンで手書きで何か書いてありますが骨董商か元の持ち主が書込んだものでしょう。(解読不明)
ドレスデンの磁器画家ルートヴィヒ・シュトゥルムに関しては、KPMとL.STRUMのスタンプと銘が両方刻まれたKPM陶板画もあることから、
KPMからも一目おかれ、制作を頼まれるような、当時人気の磁器画家であったことは想像できます。
絵柄表面には傷や破損欠損なし、完璧な状態で文句なしの美品です。
※KPMで代表される、いわゆる陶板画でトップクラスのものは完全に手描きのものと
印刷転写(ご絵などに見られるような)と手描きのミックス、全部転写と3種類ほどあります。
最高クラスの全手描きのものはちょっとしたひと財産レベルの価格です、今回の品はご絵と同じ印刷方法の原版を転写したもので、ご絵などを想像して頂ければ分かり易いと思います。
これはイコンやミニアチュールなどでよく見られる手法です。
お手元に10倍ルーペがあれば是非確認して頂きたいのですが、転写の場合、細かなドットが見られます。完全に100%手描きであればこのようなドットはどこにも見当たりません。
ご絵などをルーペで拡大してみると細かなドットで形成されているのがわかります、それと同じです。
全て手描きのものは完全に一点もの状態ですので、今も当時も数が少なくまた目玉が飛び出るような値段でしたが
セカンドライン的な、「もう少し手の届く」価格帯で完全手描き一点ものレベルの作品よりは多く作れるクラス、そういったポジションです。
ロシアイコン、ギリシャイコンでも全手描きのものには滅多にお目にかかれず、多くはこの混合技法ですが、だからといってフェイク、や粗悪品、という訳ではなく、それもちゃんとしたクラスです。
現代では陶板画は名画を忠実に陶磁器上に再現できるとして、この転写法が利用されています。
手描きか転写かはルースなどに使われるような10倍ルーペで拡大して見てやっと判別できるレベルです。
なので実際、売り手もこの違いをわからないまま販売してる場合がちらほらあるように見受けられます。
完全に手描きの陶板画だと桁が一つ違うので、そこが特にネットで購入する場合はリスクがかなりあります。
ちゃんとその違いを説明できる、してくれる販売者でないとこの手の美術品を取り扱うのは問題があります。
値段の参考に
他店さんでは同じバトーニマグダラのマリア、で縦オーバル切り取り構図の陶板画で上代160万でした。