ポンペオ・ジローラモ・バトーニ『悔い改めたマグダラのマリア』原画の陶板画

商品詳細

ポンペオ・ジローラモ・バトーニ『悔い改めたマグダラのマリア』原画の陶板画
1858年制作 作者不明 窯元不明 シリアルナンバーあり(26)転写法に一部手描きの混合絵付け技法
302.6g 17.8/13.5cm 

※ポンペオ・バトーニ(Pompeo Girolamo Batoni、イタリア、ルッカ出身1708年1月25日 - 1787年2月4日)
有名なバロック画家のポンペオ ジローラモ バトーニによって1742年に描かれたこの美しいマグダラのマリアの油画のオリジナルは恐らく1945 年にドレスデンで破壊されたと考えられています。
第二次世界大戦当時、ナチスドイツ、ヒトラーは欧州の美術館や教会から略奪した美術品でオーストリアのリンツに「総督美術館」なるものを建設して欧州各地から略奪した美術品を展示した美術館をつくる予定だったが(当時ヒトラーはモダンアート(ピカソや印象派)は嫌っていたが具象的な絵画は特に好みだった)
敗戦が濃厚になった1945年に略奪美術品を破壊せよという指令を出したが美術品の破壊を躊躇する人々に(内部関係者なども含め)から守られた作品もあるが
破壊されたもの、戦火を逃れることができず焼失してしまったもの、隠されたまま行方不明になっているものまで実に多数である。
恐らくこのバトーニのマグダラのマリアの油画が破壊された、というのも
焼失あるいは故意に破壊されたもの、と考えられます。

陶板(名)画といえばKPM
ベルリン王立磁器製陶所(Königliche Porzellan-Manufaktur Berlin GmbH; KPM Berlin)ですが
ポンペオ・ジローラモ・バトーニのまさにこの構図のマグダラのマリア絵の陶板画を海外取り扱い品(古美術商のサイトなど)楕円のものではなく長方形のもので、裏面にKPMバックスタンプ、のものが
ありましたがちょっとした2ctダイヤルース価格でした。
ポンペオ・バトーニ絵ではなく、1520〜30年代にアントニオ・アッレグリ(イタリアのルネサンス期のパルマ派の画家コレッジョ)によって描かれた「読書するマグダラのマリア」とされる絵画(こちらは後に本人によるオリジナルではなく複製画と分かった作品が1945年にドイツのドレスデンを最後に行方不明になっています)の方の絵柄の陶板画が何点か高級骨董/美術品市場に出回っていますがそちらも同じくちょっとした2ctダイヤルース価格でした。
コレッジョの方の読書する絵柄(画像参照)の方はお顔があまり、、なのと(元々の絵がイマイチ)
唯一のバトーニ版マグダラのマリア絵のKPM陶板画の方は取り扱いサイトで筆致などを見ましたが
いまひとつ繊細さに欠けているように思えます(私見ですが)
もしかしたらオリジナルのバトーニ絵自体がのっぺりしたテイストなのかもしれません。
こちらはKPMではない(バックスタンプなしなので)ものの
同じ技術で陶板画を制作できる工房によって制作されたものでしょうが、(KPMの作品の方は有名な磁器の皿や肖像画の画家でありリヒテ ヴァレンドルフに1764年に設立されたヴァレンドルフ磁器工場で働いていたアルノ・ハッケルによって1950年頃に制作されています)
こちらの楕円型バトーニ版マグダラのマリア絵の方は実に細かな筆致で描かれていることがパッと見でもわかります。
そしてなんと、KPMのマグダラマリア陶板画自体が1950年頃に制作されたのに対し
今回の無銘の(シリアルナンバーはありますが工房名不明)バトーニ版マグダラマリア陶板画が
作品の表面に(当然焼きが入っています,表面的な上書きではありません)サイン(E.end 1858)とあり
ヴィクトリア女王がイギリスを統治していた1837年から1901年の間のいわゆるヴィクトリア朝)
(日本では江戸幕府将軍によって統治されていた江戸時代、安政の大獄が起きた年)
今から166年前に作られた古い美術品、というのがもう既に凄いです。そして状態も最高のコンディションです。
絵柄表面には一切の傷や破損欠損なし、縁に触ると気づくレベルの若干のチップがありますが特筆すべきレベルではなく破損につながるようなレベルでもありません。
KPMで代表される、いわゆる陶板画でトップクラスのものは完全に手描きのものと
印刷転写(ご絵などに見られるような)と手描きのミックス、全部転写と3種類ほどあります。
最高クラスの全手描きのものはちょっとしたひと財産レベルの価格です、今回の品はご絵と同じ印刷方法の原版を転写したもので、さらに一部(ハイライトや草など)を手描きした、混合技法です。
これはイコンなどでよく見られる手法です。
お手元に10倍ルーペがあれば是非確認して頂きたいのですが、転写の場合、細かなドットが見られます。完全に100%手描きであればこのようなドットはどこにも見当たりません。
ご絵などをルーペで拡大してみると細かなドットで形成されているのがわかります、それと同じです。
全て手描きのものは完全に一点もの状態ですので、今も当時も数が少なくまた目玉が飛び出るような値段でしたが
セカンドライン的な、「もう少し手の届く」価格帯で完全手描き一点ものレベルの作品よりは多く作れるクラス、そういったポジションです。
ロシアイコン、ギリシャイコンでも全手描きのものには滅多にお目にかかれず、多くはこの混合技法ですが、だからといってフェイク、や粗悪品、という訳ではなく、それもちゃんとしたクラスです。
現代では陶板画は名画を忠実に陶磁器上に再現できるとして、この転写法が利用されています。
手描きか転写かはルースなどに使われるような10倍ルーペで拡大して見てやっと判別できるレベルです。
なので実際、売り手もこの違いをわからないまま販売してる場合がちらほらあるように見受けられます。
完全に手描きの陶板画だと桁が一つ違うので、そこが特にネットで購入する場合はリスクがかなりあります。
ちゃんとその違いを説明できる、してくれる販売者でないとこの手の美術品を取り扱うのはどうかと
常日頃疑問に感じています。






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